月の暦

月の園芸:宗教にせず、賢く付き合う

このガイドは連載月と生きる:髪、庭、眠り、儀式の一部です(全5話中の第5話)。

月に合わせた園芸とは、種まき・植えつけ・剪定を、ふたつの異なる周期に合わせることです。満ちる月と欠けていく月(位相、29.5日)、そして昇る月と降りる月(空での高さ、27.3日)です。伝統ではさらに、月が通過する星座に応じた葉・花・実・根の日が加わります。農学の実験は、測定できる効果を裏づけていません。それでもこのカレンダーは、庭で観察と規則正しさを育むための、すてきな枠組みであり続けています。土に触れる時間を、季節の呼吸に合わせて整えるための、やわらかな習慣として付き合ってみてください。

文: Jade Nohemia 9 分で読めます

ほかのどんなカレンダーよりも長く生き延びてきたカレンダーがあります。潮見表でもなく、天体暦でもありません。庭仕事小屋の釘に、擦り切れて、土で汚れたままかけられているものです。おばあちゃんは、いんげん豆をまく前にそれを確かめていたかもしれません。垣根越しにズッキーニを差し出してくれる隣人は、今もそれを信じ切っています。オーガニック農家は、今もそれを尻ポケットに忍ばせています。月のリズムに合わせて暮らすあらゆる方法のなかで、園芸はもっとも具体的で、もっとも根強く残ってきたものです。

そしてもっとも混乱しやすいものでもあります。月の園芸カレンダーを開くと、語彙の洪水に見舞われます。昇る月、降りる月、満ちる、欠ける、葉の日、根の日、交点、近地点。多くの家庭菜園家はここであきらめてしまいます。ラディッシュをまくだけなのに、天体力学の学位が必要なのかと思い込んでしまうのです。満ちる月と昇る月を混同し、自分自身のカレンダーとタイミングを外してまいてしまう人もいます。この混乱はあまりにも広く行き渡っていて、まずはそこから始める価値があります。

このガイドは、月と生きるというページを引き継ぐものです。そこでは月が、規則ではなく、ひとつのリズムとして機能しています。ここでも同じ姿勢で、ふたつの周期、葉・花・実・根の日、それに伴う所作、ある月の典型的な一か月、そしてこれを検証しようとした農学の実験が見つけたことを、丁寧に解きほぐしていきます。この記事を読み終えるころには、カレンダーの読み方がわかり、自分が何を読んでいるのかもわかっているはずです。

昇る月、それとも満ちる月?家庭菜園家のふたつの月

誤解のすべては、ひとつの文に集約されます。月はふたつの旅を同時に進んでいて、月の園芸はその両方を使います。

ひとつめの旅は、あなたもよく知っているものです。位相の旅。新月から満月まで、照らされる部分は夜ごとに大きくなっていきます。これが満ちる月です。満月から次の新月まで、それは溶けていきます。欠けていく月です。ひと巡りは29.5日かかり、これを解き明かしているのが、8つの満ち欠けを持つ月齢カレンダーです。この周期は、光について語っています。

ふたつめの旅は、より目立たないものです。高さの旅。日によって、月は空で同じ高さに南中するわけではありません。約13日半のあいだ、毎日、前日よりわずかに高い位置を通過します。これが昇る月です。そしてまた、13日半かけて降りていきます。降りる月です。この周期は27.3日かかり、位相には何も関わりを持ちません(北半球から見た場合。南半球ではすべてが逆になります)。だから満ちる月が降りていることもあれば、欠けていく月が昇っていることもあります。あらゆる組み合わせがありうるのです。

家庭菜園の伝統は、このふたつの旅をこう読み解きます。光は生命力や勢いを、高さは樹液を語っていると。昇る月では、樹液が上へ、茎、葉、実へと引き上げられるとされます。種まき、接ぎ木、地上部分の収穫の時期です。降りる月では、生命力が根と土へと戻っていくとされます。植え、植え替え、剪定し、土を手入れする時期です。ここで条件法を使っているのには理由があります。あとで詳しく触れます。ですが内部の論理は一貫していて、覚えやすいものです。

周期 期間 問いかけていること 伝統的な読み方
満ちる / 欠ける 29.5日 どれだけの光? 勢いと生命力、それから保存と風味
昇る / 降りる 27.3日 どれだけの高さ? 樹液が上へ、それから根へ

昇っている月を見分ける

カレンダーがあなたの代わりにやってくれる作業ですが、観察も手が届くところにあります。窓から見える固定の目印を選びましょう。煙突、屋根の稜線でもいいです。月がその上を通過するとき、その高さを記録します。翌日、月が同じ場所をまた通過するとき(前日よりおよそ50分遅くなります。月は毎日、前日より遅く昇るからです)、もう一度確かめます。より高く通過していれば、昇っています。より低ければ、降りています。2晩あれば十分です。

葉、花、実、根:家庭菜園家の黄道十二宮

カレンダーには、もうひとつ層が加わります。それぞれの日に、植物の部位の名前がついているのです。葉の日、花の日、実の日、根の日。この考え方は、ドイツの家庭菜園家であり実験家でもあったマリア・トゥーンの研究から生まれました。彼女は1952年から、ラディッシュを日ごとにまき続け、月の位置に応じて規則的な違いがあると信じるようになりました。1960年代初頭から毎年発行され続けている彼女の『播種カレンダー』は、この一覧表を世界中の家庭菜園に根づかせました。

その原理はこうです。27.3日で空をひとめぐりする間に、月は黄道十二宮の12星座の前を通過します。バイオダイナミックの伝統は、それぞれの星座を4つの元素のひとつに、そしてそれぞれの元素を植物の器官のひとつに結びつけます。月が水の星座を通過する日は、葉を食べる植物のための日とされ、火の星座なら実をつける植物のための日、といった具合です。

元素 星座 代表的な作物
蟹座、蠍座、魚座 サラダ菜、ほうれん草、キャベツ、ねぎ
双子座、天秤座、水瓶座 花全般、ブロッコリー、アーティチョーク
牡羊座、獅子座、射手座 実と種 トマト、ズッキーニ、いんげん、果樹
牡牛座、乙女座、山羊座 にんじん、ラディッシュ、じゃがいも、玉ねぎ

ここでひとつ補足しておくと、頭の中の混乱をかなり防げるはずです。この黄道十二宮は、今日の運勢で使われているものとは別のものです。西洋占星術は、季節に合わせて空を12の均等な区分に分けています。園芸のカレンダーは、実際に見える大きさの不揃いな星座、つまり恒星の黄道十二宮に従っています。だから日付が一致しないのは当然のことです。あなたの種まきカレンダーでは月が「乙女座にいる」時期でも、ネイタルチャートでは別の場所にいる可能性があります。同じ空を映すふたつの地図、というだけのことです。

良いカレンダーには、線を引いて消された日も見つかるはずです。月の交点、近地点、遠地点、日食・月食の日。伝統はこれらを休息の日とみなし、道具を片づけ、草を取り、刃を研ぐ日とします。それ以上のことをする必要はありません。

まく、植える、剪定する:所作の文法

ふたつの周期を区別してしまえば、あとの文法はシンプルになります。月の園芸のほとんどは、この表に収まります。

所作 伝統的なタイミング 伝統の論理
種をまく 昇る月、育てる作物の日に 樹液が昇り、種が芽吹く
植え替え、植えつけ 降りる月に 生命力が下へ戻り、根が定着する
剪定する 降りる月、できれば欠けていく月に 樹液の損失が減り、傷の治りが良くなる
接ぎ木する 昇る月に 樹液が接ぎ木の部分に集まる
葉と実を収穫する 昇る月に 果汁と香りが増す
保存用に収穫する 降りる月かつ欠けていく月に 保存が利き、水分が少ない
芝を刈る、草を取る 欠けていく月に 伸びが緩やかになる

そのうえで、日と組み合わせます。にんじんをまくなら、理想を言えば昇る月と根の日を重ねます。サラダ菜を植え替えるなら、降りる月と葉の日を重ねます。すべてが揃わないときは、所作そのものを優先すること。「悪い」日に植え替えるほうが、苗をポットの中でひょろひょろにさせておくよりずっといいのです。もっとも正統派なカレンダーでさえこう言っています。天候、土の状態、そしてあなたの時間のほうが、月より優先されると。月は望ましいことを教えてくれるだけで、緊急のことを決めてくれるわけではありません。

ある一か月の庭仕事、物語のように

5月をひと月、例にとってみましょう。仕組みが動くところを見るために。この月は、降りる月と欠けていく月がちょうど重なって始まったとします。ふたつの文字盤が一致することもあります。最初の週は、すべてが土のためにあります。実の日にトマトを植え替え、葉の日にねぎを植えます。芝を刈ります。伝統は、伸びがより緩やかになると約束してくれます。夜になると、隣の家の屋根の上で三日月が細くなっていきます。夜ごとに、少しずつ低く。

週の終わりに新月を迎え、それから数日後、月は昇り始めます。カレンダーはあなたを種まきへと誘います。実の日にいんげんを、葉の日に夏レタスを、根の日にビーツをまきます。光と月の高さが同時に増していき、宵はどんどん長くなります。ひと月でいちばん忙しい2週間です。

満月が近づくと、収穫の時期です。実の日の朝にとれた最初のいちご、前の晩に摘んだほうれん草。それから月は再び降り、欠けていきます。土への回帰、植えつけ、伸びすぎた枝の剪定、堆肥の切り返し。翌月には、ふたつの文字盤はずれてしまい、カレンダーは別の楽譜を描き出します。この絶え間ないずれこそが、この営みに生命を与えています。想像の一か月ではなく、いま進行中の朔望月をたどりたいなら、月のページが夜ごとにそれを語ってくれます。

月の園芸に、科学的な効果は本当にあるのか?

この伝統は古いものです。1世紀、大プリニウスはすでに『博物誌』の中に、満ちる月に行うべき作業と、欠けていく月にとっておく作業を書き留めていました。ルドルフ・シュタイナーは1924年、コーベルヴィッツで行った農家向けの講義でこの考えを再燃させ、これがバイオダイナミック農法の誕生の瞬間となりました。マリア・トゥーンが、それに現代的な形を与えました。20世紀にわたる教えというわけです。そしてシンプルな問いがあります。それは本当に効くのか、という問いです。この問いは、真剣に、長い時間をかけて研究されてきました。

物理の側面から見ると、引き合いに出される仕組みは検証に耐えません。満月は、真昼の光の数万分の1という、わずかなルクスで大地を照らすにすぎません。海を持ち上げる引力も、広大で自由な水塊にしか、測定できるほどの作用を及ぼしません。トマトの苗の樹液に対しては、その効果は無限小であり、苗を傾ける風の効果よりもずっと弱いのです。

実験の側面から見ても、結果は同じくらいはっきりしています。2020年に学術誌『Agronomy』に発表された、オルガ・マヨラルたちによる総説は、物理学と生物学の文献を精査しました。満ち欠けが発芽、成長、収穫量に及ぼす影響について、信頼できる証拠はありませんでした。ドイツで播種カレンダーを検証するために行われた長期の実験は、1980年代にはバイオダイナミック運動自身の研究者ハルトムート・シュピースも参加していましたが、葉の日や根の日について、安定した効果を再現することはできませんでした。ある年に違いが現れても、翌年には再現されませんでした。マリア・トゥーンのラディッシュ実験は、一度も正しく再現されたことがありません。

これは、率直に、しかも軽んじることなく言っておくべきことです。何世代もの注意深い家庭菜園家が、月に従ってすばらしい収穫を得ています。ただ、その収穫を、その注意深さではなく月に帰する根拠は、何もないということです。カレンダーを確かめ、日をずらしてまき、自分の畝を観察し、結果を記録する人は、まさに家庭菜園を上達させるすべてのことを行っています。月はそこに何も関わっていないのかもしれません。けれど、その儀式は、多くのことをもたらしているのです。

なぜこのカレンダーは、すてきな相棒であり続けるのか

ここで、このカレンダーの立ち位置が変わります。農学上の武器というよりも、庭の相棒として。そして相棒としてなら、これに勝るものはなかなか見つかりません。

リズムを与えてくれます。菜園には、いつだって可能性のあるタスクがあふれていて、それが人を麻痺させます。カレンダーはそれを段取りしてくれます。今日は葉、木曜日は根、剪定は降りる月まで待ちましょう。この巡り合わせが、あなたに代わって、決めなくていいことを決めてくれます。庭は、疲れ切った週末の大仕事ではなく、規則正しく小さなセッションの積み重ねで前進していきます。

観察を教えてくれます。月が昇っているかを知るには、2晩続けて顔を上げればいいのです。日を選ぶには、空を、大地を、天気を見ます。カレンダーの横に種まきノートをつけましょう(日付、月の日、発芽、収穫)。ひと季節かふた季節もすれば、印刷されたどんな一覧表よりも、自分の庭のことをよく知るようになっているはずです。

そして最後に、忍耐を教えてくれます。昇る月にまくということは、火曜日まで待つことを受け入れるということです。菜園は、あなたが何をしようと、朔望月のリズムで育っていきます。その所作を月に合わせることは、この緩やかさに逆らうのではなく、それに同意することです。伝統はそこに、生きているものとのつながりを読み取ってきました。あなたは、やさしい規律を読み取るだけでもいいのです。どちらでも、良い野菜は育ちます。

だから、カレンダーは庭仕事小屋の釘にかけたままにしておきましょう。擦り切れて、書き込みだらけで、汚れたままで。楽譜をたどるように、自由に従っていきましょう。次の新月は、いつだってどこかにあります。それまでのあいだ、ある夜、月が隣の家の煙突の上を、前の晩より少し高く通過するのを見て、あなたはひと目で気づくはずです。これから始まる一週間は、種をまく一週間なのだと。

よくある質問

昇る月と満ちる月、どう違うのですか?
満ちる月は位相を表します。照らされる部分が、新月から満月まで、29.5日周期で大きくなっていくことです。昇る月は高さを表します。日ごとに、月は空でだんだんと高く南中していく、27.3日の周期です。このふたつは互いに独立していて、満ちる月が降りていることもあれば、その逆もあります。
月に合わせて、いつ種をまけばいいですか?
伝統は昇る月にまきます。樹液が上へ昇るとされるときです。育てる作物に合わせて日を選びます。サラダ菜には葉の日、にんじんには根の日、トマトには実の日、ブロッコリーには花の日。植え替えと植えつけは、降りる月を待ちます。天候と土の状態は、カレンダーよりも優先されます。
月に合わせて、いつ剪定すればいいですか?
伝統は降りる月に剪定します。樹液が根へと戻っていくとされるときです。木は樹液の損失が少なく、傷の治りも良いとされます。多くの家庭菜園家は、さらに欠けていく月を選びます。カレンダーを離れて言えば、黄金律は季節です。実をつける木の剪定は冬の終わりに、青葉の剪定は夏に。
月に合わせた園芸は、本当に効果があるのですか?
農学の実験は、測定できる効果を裏づけていません。2020年に学術誌『Agronomy』に発表された総説は、発芽や収穫量に対する位相の影響について、信頼できる証拠を見出しておらず、バイオダイナミック農法運動そのものの中で行われた実験でさえ、葉の日や根の日の効果を再現できませんでした。それでもこのカレンダーには、リズムと観察という、本物の価値が残っています。定期的に庭へと足を運ばせてくれる、それだけですでに大きな意味があります。