生きている空 · 逆行

火星逆行 アイドリングで回るエンジン。

およそ26カ月に一度、火星は約10週間のあいだ黄道上を逆向きに進んでいるように見えます。これは視点だけの錯覚で、地球が内側の軌道から赤い惑星を追い越す瞬間に生まれます。火星は推進力、欲望、行動のしかたを司る星なので、伝統占星術はこの時期をアイドリングで回るエンジンとして読み解きます。前へ進む力は弱まりますが、戦略を練り直すためのエネルギーが解放されるのです。

基本情報

現在
順行中
頻度
約26カ月ごと、約10週間
性質
地球中心の見かけの動き(目の錯覚)
領域
エネルギー・行動・欲望・闘志
キーワード
戦略

空で実際に起きていること

火星が後ろへ進んでいるわけではありません。内側の軌道を回る地球のほうが速く、約26カ月ごとに火星に追いつき、追い越していくのです。この追い越しのあいだ、赤い惑星の見かけの位置は星々を背景に後ろへ滑るように動きます。あなたの乗った電車が別の電車を追い抜くとき、景色が逆向きに流れて見えるのとまったく同じ現象です。

これはすべての惑星のなかでもっとも珍しい逆行です。2年とわずかのあいだに一度、約10週間だけ訪れます。そして天文学者たちが好んで指摘する事実があります。それは、この時期がちょうど火星が地球にもっとも近づき、夜空でもっとも明るく輝く時期でもあるということ。後ろへ退いていくように見える瞬間こそ、もっとも手の届くところに近づいている瞬間なのです。

伝統占星術がそこに読み取るもの

火星は推進力を司ります。行動のしかた、欲望のしかた、自分の陣地を守るしかた、決断のしかたです。逆行のあいだ、伝統占星術はこれを、回り続けてはいるけれど前へは押し出さないエンジンとして描写します。エネルギーはそこにあるのですが、別の使い道を求めているのです。

この時期に典型的なテーマは、無理をすると空回りするプロジェクト、理解されるために浮かび上がってくる古い怒り、そして自分自身を見つめ直す欲望です。伝統占星術はこれを行き詰まりというより、戦略を見直す時間として読みます。自分の力はどこへ向かっているのか、そしてなぜなのか。

この時期を具体的にどう使うか

記録を狙うより、技術を磨くことに意識を向けましょう。トレーニングでも仕事でも、この時期は得たものを固め、きしんでいる部分を直し、新しい戦線を開くより先に開いている戦線を閉じることに向いています。10週間というのは、ちょうど良い基礎づくりのサイクルにぴったりの長さです。

もどかしさが湧いてきたら、それを失敗ではなく情報として受け止めましょう。それはしばしば、間違った扉を押している場所を教えてくれます。そして休息も予定に組み込んでおきましょう。アイドリングで回るエンジンにも、手入れは必要です。

誤解を、笑わずにほどく

火星逆行は誰も攻撃的にはしませんし、乱暴な態度の言い訳にもなりません。空が私たちの短気を代わりに決めてくれるわけではないのです。伝統占星術が観察するのは、むしろその逆です。内側にこもっていくエネルギーは、他人にぶつけるより、耳を傾けてほしいと求めています。

そして、10週間のあいだ何も始めてはいけないというわけでもありません。事業を立ち上げる人も、大会で優勝する人も、引っ越しをする人も、火星逆行のもとで実際に存在します。この時期は、人生を一時停止することではなく、より丁寧に地ならしをすることを促しているのです。

よくある質問

火星逆行になると攻撃的になりますか?
いいえ。どんなトランジットも、あなたの行動を代わりに決めることはありません。伝統占星術が描くのは、内側へ向かうエネルギーです。もし苛立ちが湧いてきたら、それは運命として受け入れるものではなく、ひとつのサインとして耳を傾ける価値があります。
火星逆行のあいだにプロジェクトを始めても大丈夫ですか?
はい、大丈夫です。伝統占星術は、この時期を準備・見直し・固めることに使うのを好みますが、人生は必ずしも空の暦どおりに進むわけではありません。もし今、良い機会が訪れたなら、準備を丁寧に整えたうえで進めば大丈夫です。

火星逆行の日程(2026年〜2030年)

この期間は逆行開始(逆行ステーション)から順行再開(順行ステーション)までを示し、暦から直接計算して毎晩チェックしています。このページへのリンクを添えれば、自由に引用していただけます。

開始日 終了日 開始時点の星座
2027年1月12日 2027年4月3日 乙女座
2029年2月15日 2029年5月7日 天秤座